昭和28年08月03日 参議院 水産委員会

[065]
自由党(自由民主党) 秋山俊一郎
先般来やかましく問題になっております竹島は、我々日本人といたしましては、勿論その所属に何らの疑点を持たない、立派な日本の領土であると考えておるのであります。

この周辺における漁業権の設定或いは漁業の操業実施等につきましても、古くから日本でやっておりますし、又当然やり得るものと考えておったわけでありますが、突如として韓国側が韓国の領土であるというような建前をとりまして、現在ではこの島を占領しておるがごとき態度に出て、日本の漁業者が行って漁業するどころでなく、日本の水産試験場の水産試験船等が周辺に近寄ると、これに対して発砲する、或いは射撃を加えるというようなことが最近起っておるのでありますが、これらの問題につきまして、国民は非常にこの措置に対して関心を持っておるわけであります。

もともと俗に言うマッカーサー・ラインというものが設定された当時に、そのラインに包含されておりました、そうして更に又その次の李承晩が李承晩ラインと俗に称する線を引いたときに、竹島を含んだ線を引いておる、そういうときから韓国としては自国の領土であるがごとき発表をし、態度をとっておるのではないかと思いますが、我々は日本の領土を、現在の状態は殆んど占領されたような状態になっておるのに対して、外務省はただ一片の抗議を以て解決すると考えておられるかどうか。

我々は事大小にかかわらず、日本の領土に侵入して来るものは外敵だと見て差支えないのじやないか、これに対しては行政協定によつてアメリカ軍が日本を防衛するというようなことになつておると私は考えておるのですが、それに対して外務省としてはアメリカとどういう交渉をされておるか。又これに対して現在どういう措置をとつておるか、この点を伺いたい。

[066]
説明員(外務省アジア局第二課長) 竹内春海
竹島の問題につきましては、御指摘の通り、韓国側は韓国の領土である、日本側は日本の領土であると主張が対立しておるわけでありますが、我々といたしましては、同島の歴史的な所属乃至は最近の平和条約の規定に鑑みましても、我が国の領土であるということについては一点の疑いはないと信じておるものであります。

併しながら韓国側におきましても、この歴史的な事実を誤解したり或いは曲解しておると思われる節もありますが、先般我が国から日本国政府の見解というものを提出いたしまして、これが歴史的な所属並びに平和条約の関係というものを縷々説明したわけであります。

それに対しましてはまだ韓国側から何らの回答を得ておりませんが、先ず我々のなすべきことといたしましては、お互いの間で誤解を解除するという方法をとりたいと思います。現在とっておりますのは、この段階にあるわけであります。

併しながら問題が紛糾いたしますれば、これは或いは第三国の仲介或いは適当な国際機関なりに解決を求めなければならないかも知れないのであります。これにつきましては、内々研究を進めております。

[067]
自由党(自由民主党) 秋山俊一郎
もう一点、これは事竹島という一孤島であって無人島であるからこそ、こんなに抗議ぐらいでがたがたやっておられますが、若し日本の国民が、住民があそこにおったら、こんなことでは私は済まないと思う。日本の領土である限り住民がいようといまいと、この点には私は何らの差別はないと思います。若し仮に他の島嶼に対して、日本の国民が住んでおる所にかような事態が起ったとしても、なお且つ同じような態度であるかどうか、私はそういうことはあり得ないと思いますが、若しそういうような状態が起っても、やはりそういうような抗議程度で以て措置をしなければならんものであるかどうか、これは仮想の問題でありますけれども、私は同様な立場に立つのじゃないかと考えますのでお伺いするわけでありますが、韓国としては、私は終戦直後朝鮮におりました当時、韓国の主張した点は、日本の住民の住んでおるところも韓国のものであるということを主張しておったことがあるのであります。

そういう点から考えまして、僅かな小さな島であるからといって、簡単に荏苒(じんぜん)これ交渉でぐずぐずしておるわけには行かん、かように私は考えるのでありますが、今少しく強硬な態度をとって措置し、迅速に片付けるという考え方は外務省にはないのかどうか、その点お伺いしたいと思います。

[068]
説明員(外務省アジア局第二課長) 竹内春海
お説の通り領土権の侵害という点におきましては、竹島にいたしましても、ほかの大きな島にいたしましても相違はないと思うのでありますが、この問題につきましては、できるだけ平和的に解決したい、そのためにあらゆる手段を尽すというのが現在の政府の方針でありますので、現段階におきましては、韓国との間において話合をする段階であります。この次の段階につきましては、米国に対しましても、この竹島の問題に対しましては、逐次通報いたしまして、将来の布石といたして置く次第であります。