昭和33年03月19日 衆議院 本会議

[023]
日本社会党(社会民主党) 田中稔男
日韓全面会談はいつ開かれ、目下釜山に抑留中の日本人漁夫はいつまでに送還される見込みであるか、藤山外務大臣の答弁を求めます。

そもそも、これらの漁夫は、韓国が一方的に、かつ不法に設定した李ラインを侵したという理由で抑留されたものであります。李ラインが依然として存在する限り、日本人漁夫の逮捕と抑留は跡を断たないものと考えられます。ごく最近においても、済州島付近で、海上保安庁の巡視船「たつた」と水産庁の監視船第一京丸が韓国船の銃撃を受けたのであります。

政府は、李ラインの撤廃について、現在韓国が不法に占有を続けている竹島の問題とともに、よろしく国連に提訴すべきであります。

李ラインがマッカーサー・ラインの継続であり、今日なおアメリカ海軍の海上防衛線である理由によって、国連に提訴することをちゅうちょしているのではないか。また、アメリカに対して、李ライン及び竹島問題についてあっせんを依頼したことはあるか、その事実があるならば、折衝の結果を示してもらいたい。藤山外務大臣の答弁を求めるものであります。



[029]
外務大臣 藤山愛一郎
なお、先ほど李ラインの問題についてお話がありました。李ライン等の問題につきましては、全面会談において十分私どもは討議を尽して参りたいと思っておりますが、李ラインはマッカーサー・ラインあるいはクラーク・ラインとは全然違うのでありまして、マッカーサー・ラインは占領行政の上からいいまして日本の出漁区域を限定したのでありますが、これは平和条約締結とともにその目的を達したので終っておりますし、クラーク・ラインは国連軍が休戦をいたしましたときに終っておるのでありまして、李ラインとは全く別なんであります。従って、これらの問題についてアメリカに対して何らかの意思表示をいたしたことはございません。