昭和41年03月17日 衆議院 内閣委員会

[076]
日本社会党(社会民主党) 楢崎弥之助
それではいま一つ、賠償問題と関連してお伺いしておきますが、あなた方は請求権及び経済協力の協定の合意議事録において、先ほど申し上げました大韓民国による日本漁船拿捕から生じたすべての請求権を放棄された。

そこで、これは日韓特別委員会でも少し問題にしたのですが、この大韓民国成立の時期は、最初農林大臣と水産庁長官は意見が違っておりました。農林大臣は、李ラインが設定された後と最初言われました。水産庁長官がそれを訂正されて、大韓民国成立の日、すなわち1948年8月15日以降ということを答弁されました。間違いございませんか。

[077]
政府委員(水産庁長官) 丹羽雅次郎
前回の委員会での御質問でございますが、請求権放棄の問題に関しましては「大韓民国による」と書いてございますから、韓国独立以後が請求権放棄の対象になる、かようにお答えしたわけでございます。

[078]
日本社会党(社会民主党) 楢崎弥之助
すなわち1948年8月15日以降ということですね。

[079]
政府委員(水産庁長官) 丹羽雅次郎
韓国の独立は、ここに速記録にございますが、昭和23年8月15日でございますから、これからでございますという御趣旨で御答弁申し上げました。

[080]
日本社会党(社会民主党) 楢崎弥之助
それでは私が言ったとおりですね。

そこで、明白にしておきたいのですが、1948年8月15日以降の拿捕漁船に対する請求権は放棄される。

では、1948年8月15日以前の拿捕漁船に対する請求権はどうなっておりますか。

[081]
政府委員(水産庁長官) 丹羽雅次郎
これは放棄の問題と拿捕漁船の補償の問題とを分けまして、放棄いたしましたものはいまのとおり。そこで放棄したものに対しましては補償することが本則でございます。

それ以前のケースについて、今度は国内措置としての補償をいかに扱うかということにつきましては、個個のケースによりまして特別に審査して処理をいたしたい、かように考えております。

[082]
日本社会党(社会民主党) 楢崎弥之助
大韓民国成立以前の拿捕漁船に対する請求権の法的な関係は、どうなっておりますか。

[083]
政府委員(水産庁長官) 丹羽雅次郎
私の承知いたします限りにおきましては、その前の段階におきましての問題は、GHQを通じまして、GHQの手によって返ってきたものもございます。GHQを通じて返還その他の処置が講ぜられたものもございますし、それから、講ぜられることなく、船その他の現物がそのまま韓国人及び韓国官憲に引き継がれたケースがございます。

[084]
日本社会党(社会民主党) 楢崎弥之助
請求権は法的にはどうなっておるのですかということを聞いているのです。

[085]
政府委員(水産庁長官) 丹羽雅次郎
ちょっと私も事実関係などをよく承知いたしておりませんので、別の機会に調査いたしてお答えいたしたいと思います。

[086]
日本社会党(社会民主党) 楢崎弥之助
それでは、請求権は一体どうなっておるのか、それはどこに対する請求権なのか、それをひとつ明白にしていただきたいと思います。