昭和34年08月01日 参議院 内閣委員会

[203]
無所属 辻政信
では、運輸大臣がおらんそうですから、政務次官にお伺いしますが、政務次官は大臣に代って一つ責任を持ってお答えを願いたい。数字がわからなかったら、ばく然でけっこうですよ。李ラインにおいて今まで漁船と人員が拿捕されたが、その総計はどのくらいになっておるのですか。ばく然でけっこうです。

[204]
説明員(運輸政務次官) 前田郁
きょうは大臣がおいでにならんので、私がお答えいたしますが、拿捕された数は、隻数で259隻でございまして、人員で3269人、これで残っているのが今154隻で、まだ帰らない者が164人、こういうことになっております。

[205]
無所属 辻政信
大体私の調べた資料と同じですが、けしからぬのは、人間はどうにか返すが、取った船は韓国がみな使いまして、漁民に貸して金を取上げておる。政府は優秀な船は警備船に改造して、またその警備船で日本の漁船を襲っている。豆がらで豆をいるようなことをやっておる。

これくらい国際法を無視した野蛮な侵略行為はないと思うのですが、こういう事態に対しては、防衛長官は侵略とお認めになるかどうか、それを伺いたい。

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防衛庁長官 赤城宗徳
侵略とは認めておりませんけれども、重大関心をもってこれに対処する用意はしておるわけであります。

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無所属 辻政信
これだけ踏んだりけったりされて、侵略と認めないということは、どういうわけですか。どう解釈されますか。国際紛争とごらんになりますか。

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防衛庁長官 赤城宗徳
これは直接及び間接の侵略というふうにとれない。こういう事情から私は侵略でない、こう考えております。

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無所属 辻政信
白昼公海の上で、堂々と国際公法で許された仕事をしておる罪のない日本の漁師が、たまを撃たれながら、船も人も引っぱっていかれるのが侵略と言えないか。飛行機で爆弾を落さない限りは侵略といえないのですか。

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防衛庁長官 赤城宗徳
国際法的にあるいは国内法的にいろいろむずかしい問題と思います。国際的にも非常に問題があります。私は侵略と今認めておりません。なお、研究いたします。