昭和28年09月12日 参議院 水産委員会

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説明員(海上保安庁長官) 山口伝
昨日の午前8時から今朝8時までの丸1日間の情報を取りまとめて申上げたいと思います。

先ず巡視船の行動状況でございますが、現在引続き5隻行動中であります、「くさがき」「へくら」「あまくさ」「きくち」「のしろ」、以上450トン型3隻と270トン型2隻でございます。一部今後交代を、第七管区本部とも連絡もいたしまして交代を考えておりますが、この5隻は引続き置いておくつもりであります。なおこれらは漁業監視船の3隻と現地において協力をいたしております。

「あまくさ」が昨日午後2時30分から約2時間、先方の旗艦である705号と接触して会談をやっておりますが、そのときの様子は、先ず李承晩ライン内の操業漁船は飽くまで退去せしめる、抵抗しない限り抑留はしない、巡視船、監視船等に対しましては自由行動を認める、そういう話でありまして、これは従来から申上げておる通りであります。当方からはこれ又同じでありますが、飽くまで連行することがないように申入れておるのでございます。

それから次に漁船の出漁状況でございますが、昨日22時の報告に上りますると、243区、これは李承晩ライン内でありますが、2隻程度が認められる。それから224区、これは李承晩ラインの外側でありますが、ほんのすぐすれすれの所であります、ここらに約100隻程度が操業中であります。それから長崎の五島方面からの情報によりますと、約50隻が出漁したという情報がありますが、詳しいことはわかりません。

それから次に現地における事件発生の模様でありますが、今のところ拿捕はまだございません。11日、即ち昨日の8時から本朝の8時までの間に行われました事故は、臨検が7隻報告されております。これは昨日申上げましたように、第一次的には臨検して再び李承晩ライン内に入らないというような誓約書を取って一応放しておるわけであります。これはこの次に又入って参りましたときに、2度目だというので、有無を言わさず連行するという建前のように聞いております。併し、なおそのほかに相当臨検されておるのじゃないかと思います。これは以上判明しておるものだけであります。

こういうことによりまして9月に入りましてからの累計は、今朝の8時までの拿捕が3件、うち1件だけはちょっとはっきりしないのでありますが、2件は御承知のように、すでに向うに釈放方その他賠償等の申入をしておることは御承知の通りであります。それから臨検、立退命令を受けたものは、報告のあったものを累計いたしますと、54隻に達しております。なお該海域には韓国の艦艇は依然として10数隻遊弋を続けておりますし、引続き日本漁船に対して退去措置を講じており、抵抗しない限り不法なことはしないと言っておりますが、事実上同海域内における操業は不可能な状態に相成っております。

なお、各地の出漁状況についてそれぞれ入電がございますが、詳細よくわからないのでございますが、御参考までに拾い読みいたしますと、佐賀県唐津港におきましては、唐津を基地にさば釣漁船が15隻でありますが、10日の日に唐津に入港したものが、唐津の船が1隻、神奈川が2隻、千葉の船が2隻、入港というのは帰って来たわけであります。11日、昨日帰って来たのは、神奈川県が2隻、それ以外のものは大体まだ出ておるわけであります。それから佐世保を基地とするもので出漁中のものが20隻、現在同港に入港中のものが30隼、平戸で出漁中のものが4隻、生月が12隻、福岡港が6隻、仙崎が2隻、福岡では滞留中のものが五十隻程度であります。

以上で大体今までの1日の間の情報の御報告を終ります。