昭和31年02月10日 衆議院 予算委員会

[060]
日本社会党(社会民主党) 古屋貞雄
そこで、一番私どもが承わりたかったのは、南鮮といかに交渉が進められておるかということは、ただいまお説の不当不正に勾留されておりまする日本の同胞の問題をいかに解決をするかということであります。これは、政府といたしましては、すみやかに解決をして、いっときも早く家族に安心をしていただかなければならぬと私は思うのであります。

のみならず、あの方面に出漁して、これを生業として生活の保障を得ております漁民に対して、明るい気持も与えなくてはならぬのでございますから、私はいつごろまでに解決をする見込みがあるかということを御質問申し上げたのですが、ただ大臣は、誠意ある方法を講じておる、こういうことの御答弁ですが、それではやはり国民は納得いかぬと思う。やはり具体的に、かようしかじかに進めておる、――私は何らさような面においては秘密を要する問題ではないと思う。

こういう面についてやはりもっと具体的に、南鮮との問題についてはかようしかじかに交渉を進められておる、ことに一番問題となっております不当不正に勾留されておる漁民の問題については、かようにして早くこちらに帰すような方法を講じておるという、もっと国民が納得する御説明を私は承わりたいと思うのですが、いかがでしょう。

[061]
内閣総理大臣臨時代理・外務大臣 重光葵
先ほどのお話は、日韓関係の全面的のお話のようでございましたので、そのつもりでお答えをいたしたわけでございます。

抑留漁夫の送還の問題は、具体的には大村における収容韓国人の釈放ということが条件になっておるのでございます。そこで、大村収容所における韓国人の釈放ということをやりたいと思っております。そのやることについて、全部一度にこれを釈放するということについては、治安関係等いろいろ考えなければならぬことがございます。

そこで、実際的の方法で一つ韓国側に交渉をして納得をしてもらいたいということで、いろいろ話し合いをしておるのでございますが、その方法について今日までどうしても納得が得られないのでございます。しかし、これについては、さらにいろいろな角度から韓国側と協議をして、双方の納得するような点でこれをまとめたい、こう思っております。従いまして、この問題が片づけば、漁夫の送還という問題も片づくのでございます。そこで、ぜひこれはやりたい。それはそう遠くはないと私は思って進めておるわけでございます。抑留漁夫の送還の問題はさような状況に今日なっておることを御了承願います。