昭和31年12月12日 参議院 予算委員会

[046]
日本社会党(社会民主党) 松浦清一
そこでこの点は大蔵大臣の御所管以外でありますが、ずいぶん長い懸案なので、27年の1月に李承晩大統領の、俗称李承晩ラインの海洋主権宣言が発せられましてから、現在なお128隻の漁船が韓国に抑留を、拿捕をされたまま帰ってこない。これは11月の中ごろの調べでありますけれども、漁民は847名――52名のところ5名死亡しておりますから847名の漁民が抑留されたまま帰ってこない、こういう状況は大蔵大臣御承知だろうと思います。

そこで今まで外務大臣等から日韓会談の経緯についての御説明によりますと、大体大村収容所に収容されておる韓国人の余刑者496名と、この釜山に収容されておる日本漁民の交換釈放が行われるという話し合いが進行しておった、しかもそれは大体話がまとまりつつあるという、そういうことを私どもは聞いておったのです。

そこで日本政府を信用しないというわけではありませんが、私は韓国の金公使をたずねまして、政府からこういう話を聞いておるが、実際にはあなたの方から見て、一体この話の経緯はどうなっておるのか、見込みは一体どういうことかと、だめ押しをする意味で聞きましたところが、日本側の今日までの主張は、大村収容所の496名の韓国人たる余刑者が、たとえば交換釈放の形で釈放をされても、再びここに収容されるというようなことがあっては、日本の漁民は帰した、大村収容所の者はまた収容される、こういうことになれば何もならん、従ってここで釈放した韓国人は再びこの収容所には収容しない、こういうことを日本側が言明をしてくれなければ、日本漁民を帰すことはできないのだ、こういう話なんです。