昭和50年06月17日 参議院 農林水産委員会

[012]
自由民主党 初村滝一郎
韓国漁船によるわが国の漁業専管水域の侵犯について、ついででございますがお尋ねしますが、日韓漁業協定に基づいて西日本には12海里の専管水域をつくっておるわけなんです。ところが、長崎県の壱岐、対馬の沿岸、なかんずく特に対馬沿岸の専管水域を侵犯する韓国漁船が非常に多くなってきた。私どもが地元に行けば、何とかしてくれというような、強い漁民の反発を聞かされるわけなんです。

私が調べたところによると、水産庁と海上保安庁が警告を発した件数だけで、45年が841隻、46年が548隻、47年が332隻、48年が229隻、49年が594隻、ことしの5月で、50年は270隻にずっと上がってきているわけですね。これは表に出ただけの数字なんであって、実際は私は、これの倍近くあるんじゃないか、かように想像するわけであります。

いま申し上げましたとおりに45年から48年までは減少する傾向でありましたけれども、昨年に入って再び急増しており、ことしもすでに、前申し上げましたとおり270隻を超しておる。そこで政府は、これまでにこの問題等に対してどのような対策を講じたのか、また49年に入って急増した事由はいずこにあるのか、さらに今後はどのような方針でこれを取り締まる考えなのか、この機会にお尋ねをいたしまして私の質問を終わりたいと思います。



[014]
政府委員(水産庁長官) 内村良英
日韓両国漁船のそれぞれの相手国への侵犯防止につきましては、日韓漁業協定発効以来、両国巡視船あるいは監視船による連係巡視及び視察乗船等の機会を通じまして、双方とも自国漁民を強力に指導しているところでございます。

ところが、ただいま先生から御指摘がございましたように、ずっと減ってまいりました侵犯事件が49年から急にふえたわけでございます。この原因は何かというお話でございますが、私どもの考えているところでは第一に韓国の主として侵犯してくるのは小型のトロールでございます。底びきでございます。そこで韓国の沿岸のタイとアカムツあるいはイトヨリ等の資源が減ってきたことが一つじゃないかと思います。

それから49年非常に侵犯がふえてきたものでございますから、私どもの方から韓国側に注意を発しましたところ、オイルショックで油が3倍になっちゃって巡視船が十分に動かせないんだというようなことを言っておりました。そういうことも多少関係があるのではないかと思います。

そこで最近非常に悪質なものもふえてきておりますので、本年2月から従来拿捕等の措置をとらなかったわけでございますけれども、これを拿捕し検挙するという方針に変えまして、これは韓国側にも十分話をしまして、非常に悪質なものがあるからやるぞということを申しまして、海上保安庁が検挙を始め、現在までのところ3件の検挙が行われたということで取り締まりは強化しているわけでございます。