昭和40年10月01日 参議院 決算委員会

[083]
日本社会党(社会民主党) 相澤重明
第1班は、去る8月20日から8月26日までの間、高山恒雄君と私相澤重明の2名で、岡山県、島根県、山口県、萩市及び防府市の財政事情、岡山県では、特に水島工業地帯の実情と山陽新幹線の現状、島根県では、特に災害の実情、山口県では、特に拿捕漁船の実情に重点を置いて調査を行なってまいりました。

(中略)

5、山口県の拿捕漁船の実情。

昭和27年1月いわゆる李ラインが設定されて以来、韓国の警備艇による日本漁船の拿捕が始まり、現在までにその数は全国で327隻、そのうち、山口県の漁船は114隻の多数にのぼっております。しこうして、いまなお、未帰還船は全国で185隻であります。山口県の未帰還漁船は57隻で、その損害はおおよそ次のとおりであります。

1、拿捕漁船の船体、機関及び装備9億4000万円、
2、積載物3億4000万円、
3、事件に伴う出費12億4000万円、

以上が直接の損害額でありますが、さらに稼働想定による推定収益額7億2000万円を加えますと、損害の総計は実に32億5000万円にのぼり、これは全国の拿捕漁船の損害額の36%に相当するものであります。

拿捕船が多く出ましたのは、昭和28年から昭和31年ごろまでが多く、それ以後は、李ライン地区を避けて他の漁場に出漁するようになった関係もあってか、最近はごく少なく、昭和38年は3隻拿捕され、そのうち2隻が帰還、1隻が未帰還、昭和39年は1隻拿捕されましたが、帰還が許されている実情であります。

なお、萩市における拿捕船の状況を申し上げますと、越ケ浜で15隻、そのうち2隻が帰還、玉江では5隻が拿捕され、そのうち2隻が帰還、小畑では1隻拿捕されたが帰還している状況であります。萩市の拿捕事件は、そのほとんどが昭和28年に発生したものでいずれも19トンぐらいまでの漁船であります。

これらの拿捕船に対しては、県当局も融資を行なうなど再建につとめておりますが、この拿捕のため、ついに倒産したと思われる業者も、山口県下で20を数える状況であります。