昭和36年03月09日 参議院 運輸委員会

[013]
自由民主党 鳥畠徳次郎
一昨年もこの委員会でそういう質問を一回したことはあるのでありますが、当時と、昨今いろいろ実際に調査をして参りますると、以前は李ライン、今は平和ラインと言っておるようでございますが、この平和ラインの昭和22年から35年までの向こうで拿捕された船あるいは人数というようなものを調べて参りますと、大体に35年までで、拿捕された船の数というものが269隻ということになっておるようであります。向こうで抑留された人が3369名ということになっておりまして、35年までに見る結果から申すならば、大体に3369人の中で8人が死亡して、あと全部幸いにして無事帰還をしておられるようでありまして、また船の場合におきましても、大体に沈没したものが2隻で、あと全部満足にこっちに、本国に送還されておるという結果になっておることは、まことに御同慶にたえないところであります。(※船は返還されていない)

相当その間に大きな苦心をされたことであろうと思いますが、36年本年に入りましてから、あまりこの種の問題はないようでありますが、私のお尋ねしたいのは、36年に相なりまして、これらの拿捕であるとか、あるいは人命の損傷とかいうようなことはあったかなかったかという点を一応お尋ねしたいのであります。

それと、向こうでやっておる漁獲は、底びき、一本釣、もう一つ何かやっておるそうでございますが、昨年の1カ年の漁獲高というのはどれくらいあったものか。また一昨年と昨年との比較がどれくらいになっておるかという、漁獲高を一応お尋ねしたいと思います。

それから、これは最も零細企業でありますが、一本釣というのが相当行っておるようでありますが、これらに対しての――一本釣あるいは底びき全部を通じてもいいわけでありますが、今日までの拿捕された船の損害、あるいはまた、向こうで抑留された人たちの家族の生活保障といいますか、それらはどういうふうに行なわれてきたものか、そういう点、この三点を一応お尋ねしておきます。

[014]
政府委員(水産長次長) 高橋泰彦
まず最初の第一のお尋ねは、最近における事故の問題でございます。御存じのように、ただいま日本と韓国の間では予備会談が持たれておるわけでございますが、この予備会談が発足いたしましてから、本年に入りましてからの事故は1件ございました。

それは本年に入りまして早々の問題でございますが、入江丸という約10トン程度の、はなはだ小さい船ですが、これは長崎の対馬を基地といたしまする漁船であって、いわゆるラインに入ったか入らないかというような問題もございますけれども、一応拿捕された事件が1件ございました。これは幸いにして船と乗組員ともどもにかなり早期に帰還することができましたことは、御同慶にたえない次第であるというふうに考えております。

最近の向こうの動きにつきましては、詳細は担当であられる海上保安庁の方から御聴取願いたいと思いますが、私どもの聞いておる範囲では、やはりまだ今後問題がないだろうというふうには考えられないのでございまして、私どもとしてはやはりできるだけ刺激的な行動を避けて自粛するというような方針で、ただいま関係者を指導しておるような次第でございます。



[019]
自由民主党 鳥畠徳次郎
ただいまの御報告では、大体に監視も十分できておる、件数もおいおい減っているというようなお答えでありましたが、私の方で調べたのによりますると、講和前と講和発効後との数字を見ますというと、講和前の昭和27年までには、隻数で95隻と、1236人が抑留されておる。その次の講和発効後の数字を見て参りますと、ちょうど95隻というやつが講和発効後になってもっとふえて174隻だと、人員にしまして2233人というような膨大な数字に上ってきておるのであります。