昭和39年06月25日 参議院 農林水産委員会

[188]
日本社会党(社会民主党) 小宮市太郎
これは水産庁から資料をいただいておりますが、39年の1月現在でこれに載っております最後のものは39年の1月29日の佐代丸、以西底びき、これが拿捕されている。これで終わりになっておりますが、その後新聞等で承知いたしますところによると、かなり悪質というと、どうも語弊がありますけれども、相当きつい拿捕の状況を聞かされております。その後どのくらいございましたか、そちらに資料がございますれば、庄野長官からでけっこうでございますから、お答え願いたいと思います。

[189]
政府委員(水産庁長官) 庄野五一郎
韓国の拿捕漁船でございますが、3月末で318隻、その後5月6日に1隻拿捕されまして319隻、未帰還が182隻というふうになっております。

その後漁船が追跡されまして巡視艇がそれを指導、援護しておりますものにつきまして、船員は巡視艇に乗り移っているが、漁船を横抱きにして離脱しようとしたというものを非常に強制的に傘捕、連行した、そういうふうになりまして、先生のお持ちの1月現在の以後4隻拿捕されております。で、本日も1隻、午後以西底びきの船が拿捕されている、こういうことになっております。

それで、4隻のうち1隻は洋上で釈放している、返還されております。それから2隻は船のみ連行して船員は巡視艇に乗り移って帰ってきている。それから本日拿捕されました1隻は、船員とも拿捕されておりまして、13名、そういう状況になっております。

[190]
日本社会党(社会民主党) 小宮市太郎
そうしますと、船員の数は何名になりましょうか。それから拿捕された船の隻数、トン数ですね、おわかりでございましたら……。

[191]
政府委員(水産庁長官) 庄野五一郎
ただいま抑留中の船員は、きょう抑留されました分だけの13名でございます。なお全体のトン数につきましては、ただいま資料持っておりませんのでお答えいたしかねますが、御容赦願いたいと思います。

[192]
日本社会党(社会民主党) 小宮市太郎
きょうのは初めていま長官からお聞きして13名、船員並びに拿捕された船があるようですが、23日に第十一住吉丸が洋上で拿捕されてそれで船員が12名、それから便乗者が2名いたと思います。これは直ちにというわけじゃなかったでしょうが、若干の時間を経て船員とも釈放された、こういうのがございますね。

これについて私の知り得たところでは農林317区の6、中国の沖で、しかも李ラインの外で漁労をやって博多港に帰途、済州島の南のほうの農林266区の6で韓国の巡視艇に停止をされ、そこで拿捕されようとした、こういう事件なんですね。この点は間違いないでしょうか。

[193]
政府委員(水産庁長官) 庄野五一郎
先生御指摘の船は以西底びきでございまして、いわゆる東海、黄海で操業している分でございます。そこから帰航中に拿捕された、済州島の南の李ラインの付近で拿捕された、こういうふうに承知いたしております。なおこちらから厳重抗議いたしまして無害通行権というようなことを主張して抗議いたしました結果釈放された、こういうふうに承知いたしております。

[194]
日本社会党(社会民主党) 小宮市太郎
政府の抗議によって保釈をしたという御答弁がありました。非常に適宜な措置だと私は思うのです。ところが、もしこういうことがたび重なりますと、長官も御承知のように、船員の諸君も相当最近は激高していることがあるわけです。したがって昨年の3月、こういう事態が起きたならば、船員諸君が自分の船みずから体当たりしていこう、こういうことを決議している。こういう事件がもしあると、思わぬ事態が発生する、私はそういうふうに思うのです。ですからこういう点については、特に格段の政府の抗議というのが必要じゃないか、こういうふうに思いますが、大臣からこの点を承っておきたいと思います。

[195]
農林大臣 赤城宗徳
そのとおりでございます。政府といたしましては、厳重抗議いたしまして、できた事態を除去し、またこれからそういう事態を起こさせないようにいたしたいと思います。また日本の巡視艇等を増強いたしまして、そういう事態か起こらないようになお一そうの注意をしてまいっておる次第でございます。