昭和32年03月07日 参議院 内閣委員会

[001]
委員長 亀田得治(日本社会党)
これより内閣委員会を開会いたします。

まず、派遣委員の報告の件を議題に供します。

九州班の派遣報告につきましては、委員長である私も参加いたしましたので、派遣委員を代表して、便宜私から報告させていたたきたいと存じます。

(中略)

第2に、いわゆる李ラインをめぐり、韓国艦艇による日本漁船の拿捕、銃撃あるいは追跡等の不祥事件がきわめて多く、昭和31年中における韓国による拿捕事件発生状況は、総計拿捕隻数19隻、拿捕人員235名となっております。

なお、最近の拿捕事件の趨勢として特筆すべき点として、次の4点を指摘しております。

第1は、既往の拿捕対象船舶は、主として以西底曳網漁船、あぐり網漁船などの中型漁船であったが、最近においては、対馬周辺の小型漁船までがその対象となっている点、

第2は、これら被拿捕船の拿捕位置は、韓国側の報道では李ライン内、漁船の報告では李ライン外となっており、その当否は判断しがたいが、巡視船の実証その他諸般の状況より推断して、李ライン外拿捕が敢行されていることが推察される点、

第3は、警備艇は被拿捕漁船の釈放を要求する巡視船に対して応答しないばかりでなく、あまつさえ停船命令、追跡、自動小銃による威嚇などの挙に出ることもあり、事態は楽観を許さない現状にある点、

第4に、昨年12月の第一千鳥丸脱出事件に刺激されて、警備艇の警備力は相当強化された模様であり、現実に、今年1月に入って、7隻の大量拿捕事件が発生しておることを考えるとき、今後は一そう厳重な警戒が必要である等の4点であります。

以上の実情にかんがみ、現在、もっぱら韓国側の拿捕に備えて、済州島の周辺海域に、常時450トン型巡視船2隻ないし3隻を配置して、特別哨戒を行なっているとのことであります。

なお、説明の中で、韓国側の拿捕件数が昭和28年当時と比較して半数以下に減少してきているが、これは、特別哨戒を行なっているという理由のほかに、漁船の方で、拿捕をおそれて、李ラインに近づきあるいは李ラインの中へ入ることをためらうようになってきたためであり、事実上は、李ラインから締め出されているのであり、韓国側の態度が緩和されたためではないという説明がありましたが、この点は、注目すべきことではなかろうかと考える次第であります。最後に、巡視船と航空機の急速増強の必要を痛感する旨の所見が述べられました。