昭和35年02月26日 衆議院 予算委員会第二分科会

[077]
日本社会党(社会民主党) 木原津與志
特に目下の外交問題の一番の焦点は、何としても李承晩ライン問題を中心として、日本は、特に九州方面、中国方面ですが、李承晩ラインでの漁業問題に関連して、現在の統計からしましても、抑留漁民がここにいまだ214名、すでに刑期満了になってそのまま滞留している者でも167名、その他艦船、漁船、漁具、こういったようなものを不法に拿捕されておる。



[116]
自由民主党 上林山榮吉
木原委員から日韓関係について適切な質疑が繰り返されておるようでございますが、私もこのうちから1、2だけ捨い上げてまず伺いたいと思います。

第1に、現在韓国に抑留されておる漁民は幾らであるか、なお抑留されておる船舶は何隻か、この点をまず伺いたいと思います。

[117]
政府委員(水産庁長官) 西村健次郎
ただいま韓国に抑留されておりまする漁民は総計で214名でございます。その中にはつい先日拿捕されました第五八幡丸乗組員13名も含んでおります。

なお、昭和26年以来韓国に拿捕され、抑留されました漁船のうち、まだ返してもらえないもの、これはたしか157隻だったと承知しております。あるいは1隻くらい違うかもしれません。

[118]
自由民主党 上林山榮吉
韓国は、御承知の通り不法なる竹島の占領をやるとか、あるいは国際法を無視して李ラインを引いて漁民や漁船を抑留しておるとか、これは日本人としても、国際的に考えてもまことに遺憾しごくなことです。

そこで、抑留されておる抑留民のことはわれわれも直接間接いろいろと聞いておりますが、これらの抑留中の待遇というものは、国際的に考えて国際水準に乗った待遇を受けておるのかどうか。

それから第2に、抑留されておる船舶ですが、これが普通の国際的の通念からいけば、これは善良なる管理者の注意を持ってその船の管理をしていなければならないのであるが、韓国側は抑留船舶をいわゆる善良なる管理者の注意を持って管理をしておるかどうかという点、この2つの点を水産庁はどういうふうにお調べになっておりますか。

[119]
政府委員(水産庁長官) 西村健次郎
韓国釜山にある抑留所の待遇の問題でございます。私どもが承知したのは一昨年900名の送還がございまして帰ってきた乗組員がございます。その人たちが収容中に受けた待遇というものを私たち承知しておるわけでございます。その後公の記事によって詳しい内容と、その後の状態というものは承知しておりません。ただ、想像されることは、依然として待遇は相当ひどいじゃないかということが考えられますので、昨年でございましたか、ある漁船の拿捕がございまして、韓国の裁判所にかけられる場合に、一つ弁護士をつける。弁護士をこちらから頼めば――これは日本人でだめなら、たとえばアメリカ人を頼むとか、そういう弁護士が常におれば、待遇の状況等も見られるし、それが多少とも貢献するんじゃないか、こういうことで、業界におきましてそういう線を推進いたしましたけれども、その点につきましては、韓国側の裁判所がそれを許容しなかった、こういう状態であります。

なお、拿捕いたした漁船の管理につきましては、私ども正式な情報は持っておりませんけれども、聞くところによりますと、拿捕した船を運搬船に使ったり、あるいは漁船に使ったり、場合によっては監視船にも使っておるやに聞いております。その程度であります。