昭和35年03月10日 衆議院 外務委員会

[009]
日本社会党(社会民主党) 中村英男
この問題は昭和27年の1月に韓国の李承晩大統領が領海の主権宣言をいたしまして、それから韓国周辺の海域から日本の漁船を武力で締め出している、こういう状態が今日まで続いております。

これで、御承知のように下関を基地としてあるいは長崎を基地としている西日本の漁民が非常に痛手を受けて、金高にしたら年間115億くらいと思いますが、漁獲の方でもそうですが、ことに27年以来今日までたくさんの船と人間が拿捕されまして、その家族の人たちも非常に心痛をしていることは御承知の通りです。政府も今日まで非常に努力を願っておりますが、一体27年から今日までどれくらいの船が拿捕されて人間が向こうに連れていかれたか、釈放された者も含めて人員はどれくらいですか。

[010]
外務大臣 藤山愛一郎
政府委員より御答弁させます。

[011]
説明員(外務事務官(大臣官房審議官)) 三宅喜二郎
お答え申し上げます。李承晩ラインが宣言されまして以来拿捕されました船舶の総数は170隻、そして抑留されました船員の総数は2209名でございます。そのうち船舶で返還されましたものが19隻、船員で帰還せしめられましたものが1990名でございます。そのほか沈没した船が2隻、それから死亡――これは病気でございますが、死亡いたしましたのが5名でございます。

従いまして現在向こうにとらわれておりまする船は149隻、抑留されております船員は214名でございます。



[130]
日本社会党(社会民主党) 木原津與志
さらにもう一点は、私が聞くところによれば、最近李ラインにおける拿捕船は、これはアメリカから武器の貸与を受けた韓国の艦艇がこれを拿捕しているということでありますが、そういうことが事実であるかどうか。

もし事実ならば、これは明らかに、アメリカと韓国との間の武器貸与の規定や何かで李ラインの日本漁船を拿捕するということをやっているわけではないと思う。従ってこれについて、私どもは、あなたが、韓国に貸与している艦艇がわれわれの漁船を拿捕しているということで、堂々とアメリカ大使館に対して厳重な抗議をすべきだと思うが、そういう意思を持っておられるかどうか、簡単に結論だけお聞かせ願いたい。

[131]
外務大臣 藤山愛一郎
今回柳大使が帰りまして、抑留漁船員の送還の問題が話がつきませんならば、何らか抑留漁船員かできるだけ早く帰り得るような方法をわれわれはまずとっていきたい。抑留漁船員の方が長く引っぱられるような形の措置はなるべくとりたくない。どういうことでありまして、どういう措置をとるかについては、今何とも申し上げかねます。

また今日まで韓国の巡ら艦艇がアメリカの武器等を持ってやっているということについては、そういう事実はないと存じております。