昭和37年09月02日 衆議院 外務委員会

[056]
日本社会党(社会民主党) 戸叶里子
水産庁にお伺いいたしたいと思いますが、李ラインの付近あるいはその中等におきまして、これまで拿捕された船がどのくらいであるか、そしてまた、そのときにこうむった損害はどのくらいであるか、大体説明していただきたいと思います。

[057]
政府委員(水産庁長官) 伊東正義
李ラインの付近で操業しておりました船が拿捕されましたのは、昭和22年ごろからでありますが、現在までに約290隻ぐらいだと思っております。帰ってきておりませんのが170隻前後帰ってきておりません。乗組員につきましては、2500人ぐらい拿捕されましたが、現在残っておりますのは27人ということになっております。

損害の問題でございますが、これは漁船そのものの被害がどのくらいかということでございますが、それに限定して申し上げますと、これは、先生御承知のように、現在漁船保険に特殊保険制度というのがございます。拿捕を特殊保険事故にした漁船保険がございまして、昭和26年からやっておりますが、これで国が支払いました保険金額が約6億6000万ぐらいになります。これは当時のものからずっと通算したものであります。ところが、これは、国が払いますのは9割ですから、あと1割は組合が払うということで、9割の金が6億6000万ぐらいでございます。そのほかに、実は保険に入りませんで拿捕された船がございます。これは、どっちかというと、小さい船、木船が多いのでございますが、これの数字が約5億前後あるのではないかということをやっていきますと、先ほど先生に申し上げましたように、国が払うのは9割であり、また、漁船保険につけますのが船価の8割程度が平均でございますので、そういうことをやっていきますと、15~16億前後が船そのものの被害ではなかろうかというふうに推定いたしております。

[058]
日本社会党(社会民主党) 戸叶里子
今33人残っている人たちに対しては、どういうふうなことをしていらっしゃいますか。

[059]
政府委員(水産庁長官) 伊東正義
これも、昭和28年から始まったのでございますが、閣議決定で、抑留されておる人の留守家族につきまして見舞金を出すというようなことが始まっております。その後数次これを改正いたしまして、そのほかに差し入れの金を出すとかいうようなことを、法律ではございませんが、閣議決定を実はいたしております。御承知のように、これにつきましても、実は27年から乗組員の給与保険というのが実は行なわれております。

給与保険に入っておる人と入っていない人で相当の差がついているのでございますが、給与保険に入っていない人につきましては、これは実質抑留60日以上ということになりますと、月1万円という見舞金を出しております。それから、給与保険に入っている人につきましては、1万5000円と漁船乗組員給与保険の内訳保険金額との差額につきまして、その3分の2につきまして、それをまた抑留されておる月の期間払うということで、見舞金をやっております。そのほかに、差し入れの金につきまして、年間としますとたしか9万4000円か6000円になりましたか、そういう差し入れの金も補助するというようなことを実はやっておりまして、今までに大体韓国関係ではそういうものを入れますと2億5000~6000万を政府から出しております。