昭和29年04月05日 衆議院 内閣委員会

[064]
自由党(自由民主党) 大久保武雄
この点は先般の「さど」事件ときわめて関連がありますが、「さど」事件の場合は、相手から機関銃の攻撃を受けたと聞いております。

相手が海上保安庁の巡視船を攻撃した場合は、もちろん砲は使用する、武力は行使する、こういうお考えでありますか。

[065]
説明員(海上保安庁長官) 山口伝
お答えいたします。そのときの状況によって、向うから積極的に攻撃を加えられるというような場合には、もちろんそれに対して応待せざるを得ないと思います。

しかしなるべくさような状態は避けたいとは思っておりますが、そういうような事態に当面すればやむを得ないことだと思っております。

[066]
自由党(自由民主党) 大久保武雄
私は木村長官並びに山口長官、両長官の御答弁を承りまして、火器の使用に対しての方針がまだ明確に立っていないと思う。そこでこの問題はもちろん複雑なる国際問題を引起すこともありましょうし、また部下をきわめてナーヴァスな、非常な苦しい判断の場面に押し出してしまう。そこでこれは、もちろんいろいろ複雑な事態がございましょうが、遠く国を離れて日本の漁船あるいは日本人の保護に当っておる諸君が、ほんとうに安んじて国旗のもとに働き得る、こういう態勢を早く明確にされなければ、いたずらに部下を苦しめるだけである、かように私は考えるわけであります。この点はひとつ両長官が御協議になりまして、できるだけ早く態度を明確にされんことを希望する次第であります。

次に私は山口長官にお尋ねしたいことは、「さど」は李ラインに立ち入らないという誓約書をとられたということでありますが、これはほんとうでありますか。

[067]
説明員(海上保安庁長官) 山口伝
お答えいたします。釈放されることがきまったあと、そういった誓約書みたいなものを判を押しておることは事実でございます。

[068]
自由党(自由民主党) 大久保武雄
これはとんでもないことでありまして、私は日本の公船が公海を航海することにおいて何の遠慮がいろうか、これは明確に韓国の日本の公船に対して強制した――あるいは釈放の際の不可抗力の強制であったかもしれませんが、私はこれはとうてい容認できないと考える。

この点に関しまして、外務大臣はこれを否認された措置をおとりになったと考えておりますが、いかなる措置をおとりになったでございましょうか。

[069]
外務大臣 岡崎勝男
外務省におきましては、この事実その他を調査しまして先方に対する申入れを行っております。

[070]
自由党(自由民主党) 大久保武雄
私はこれは当然否認さるべき問題だと考えております。