昭和32年01月29日 参議院 農林水産委員会

[043]
説明員(水産庁長官) 岡井正男
それから日韓問題につきましては、遺憾ながら、いまだいつごろになればはっきりするという見通しはつきませんが、一番心配しておりますのは、漁夫が最近もまた不法拿捕によりまして増加いたしまして、現在は約1000人に近い程度の人が韓国に抑留されておるわけでございます。

どうもその拿捕の方法などを見ますと、最近は李ラインを相当離れているにかかわらず、向うの方が強引に引っぱっていく。中には、かわいそうに、小さな船に親子が乗って、しかも延縄を対馬沖でやっているというようなのを、ちょうどネコがネズミを追うような追い方をしまして、無理やりに李ラインに追い込んで、そうしてつかまえて、そうして李ラインでやっているじゃないかという、こういうような非常に残酷な拿捕をやっております。

非常にわれわれは内心憤慨にたえないものがあるのでございますが、逆に、外務省といろいろと打ち合せしておりますが、どうも人質をふやすために、ことさらにああいうことをやっているのじゃないかというように、悪く解釈すれば思われるのであります。こういう状態が続く場合には、漁業問題をすなおに話し合いするというような段階にも、なかなか立ち至らぬのではあるまいかと、非常にわれわれとしては心配いたしております。まあ外務省とも十分連絡いたしまして、何とか一日も早く拿捕されている漁夫を日本に帰すようにという打ち合せと努力は、続けて払っておる次第であります。