昭和28年09月14日 参議院 水産委員会

[002]
説明員(海上保安庁長官) 山口伝
その後海上保安庁は、引続き巡視船5隻を以ちまして済州島方面海域を警戒続行せしめておりますが、水産庁監視船と協力して無論操業の維持に努力いたしますと共に、拿捕及び紛争等の事故防止に努めております。

前回に御報告申上げました以後、即ち12日土曜日の午前8時から14日、即ち本日の午前8時までの2日間に亘ります間の判明いたしました事件は、拿捕されたものはございません。臨検、退去を命ぜられましたものが15隻となっております。以上によりまして、9月中の累計は、拿捕3隻、臨検等59隻ということに相成ります。

9月12日、即ち一昨日でありますが、一昨日の午前6時、現場におきまして韓国軍艦304号艦長と会見しました巡視船「へくら」は、従来通り李承晩ラインは不法なものであり、日本漁船の正当な操業を脅すことのないよう、従来通りの申入を繰返しておるわけでありまするが、相手側は依然として、退去させることは続行する、反抗しない限り武器は使用しないが、1回警告をして再侵入する漁船に対しては、反抗したものとみなして釜山に連行する旨発言をいたしております。従いまして、現在では日本漁船も大半は同海域から待避しまして、李承晩ライン内で操業しているものは至って少く、巡視船からの種々の報告を総合いたしますと、12日の夜はライン内に約30隻、ライン外に約150隻、翌日の13日の夜から本日、14日の未明にかけましては、低気圧の来襲により荒天のためとも思われますが、ライン内に数隻の操業漁船を認める程度であります。九州各地域におきまして13日12時現在、調査した結果によりますると、漁場にあるものは日本漁船37隻、入港して来たものが16隻、待機いたしておるものが68隻、出港したもの3隻という状況であります。

次に韓国艦艇は依然として同海域内の遊弋を続けておりまして、退去措置を講じておりますので、抵抗しない限り拿捕連行はしないとは言っておりまするが、事実上李承晩ライン内における操業は不可能な状態に立ち至りつつあるわけであります。海上保安庁としましては、今後も引続き水産庁の監視船と相協力して、巡視船は5隻を行動せしめまして操業の維持に努力はしで参ります。でき得る限り拿捕その他の不祥事件の発生防止に努めまする考えでおります。なお、事態の推移に備えまして、最寄りの基地に更に巡視船3隻を待機せしめているのが現況でございます。

以上2日間の大体の経過を御報告申上げます。