昭和28年09月15日 衆議院 水産委員会

[025]
日本社会党(社会民主党) 赤路友藏
外務大臣にお尋ねいたします。9月9日韓国の白首相は、李ラインを侵した日本漁船に対しては武力をもってこれに対処するであろうということを声明しております。

9月11日孫国防部長官は、韓国政府は李ラインを守るために武力をもってすることも辞せないであろう。わが方は日本の漁船が朝鮮の漁区を乱すことを続ける限りは、発砲事件もあえて避けないであろうとういうようなことを発表しているようでありますが、これに対する外務大臣の解釈と御意見を承りたい。

[026]
外務大臣 岡崎勝男
いろいろのことがいろいろ報道では伝わっております。あなたのおっしゃるようなことと逆なようなことも伝わっております。われわれは監視船も出ておりますし、事態が実際上どういうふうになっているかということをよく注意した方がいいのであって、ある人の言ったことをとって、それで韓国側と言い合いをするということは、この場合いたずらに論争を刺激するだけでありますから、実際上の問題として現実の事態を見ていろいろの対策を講じたい、こう思っております。



[039]
日本社会党(社会民主党) 赤路友藏
直接侵略を防ぐために安全保障条約ができておるということはよくわかりました。それでは今度のこの李ラインによる朝鮮側の行為というものは、先ほど来私が申しておりますように、私はこれを解釈する場合には、国権を侵されておる、当然日本の国が自由に操業さるべき海域、それが自由操業できない、しかもそのことは武力によってなされていること――侵略という言葉は当てはまらないかもしれませんがしかしながら明らかに、侵されておる状態にあるということだけは事実であろうと考えるのであります。

こういうような際でも外務大臣は、この日米安全保障条約に基く行政協定の面で、アメリカ側に要請をする御意思を持っておりませんか。

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外務大臣 岡崎勝男
韓国側の今やっておりますことが不法不当な行為であるということはもちろんであります。しかし日米安全保障条約の規定に入って来る行為とは私は考えられないと思います。

しかしもしお話のようなことでありますならば、まず歯舞、色丹の問題が先決問題であろうと思います。あそこにも広い海があります。しかしながらソ連側はあそこを真中から割りまして、もしそれより近づいて来たならばつかまえるという行為をしておる。しかもこれは公海というよりは、歯舞、色丹が日本の領土であるということは、これはもうソ連はいざ知らす、ほかの世界の国はみな認めておるところであります。それにわれわれの漁民は行かれないという状況でありますが、しかしこれとても日米安全保障条約の規定の中には入って来ないであろうと私は考えております。