昭和36年04月25日 参議院 外務委員会

[008]
日本社会党(社会民主党) 森元治郎
おとといだったか、済州島の沖で、李ラインを侵したということで、日本の漁船が1隻持っていかれて、巡視船も銃撃をされるという事件があったようですが、日韓会談にあたって、日本側は、政府は大へんな意気込みで交渉されておるようですが、これに対する韓国側の態度としては、きわめて理解しがたい態度であるように思うのですが、事件の内容と、政府はどういう態度をとったか、伺います。

[009]
政府委員(外務省アジア局長) 伊関佑二郎
昨日の朝6時ごろ、第三亀秀丸というのが拿捕されております。場所は、李承晩ライン内ちょっと入った所でございます。

特異の現象といたしましては、わが方巡視船くろかみ丸というのに対しまして向こうが銃撃を加えておるという点でございます。これは、威嚇射撃であったか実弾射撃であったかという点につきましては、はっきりいたしません。弾痕がないということが、今のところそういう報告が参っております。それから亀秀丸に対しましても銃撃が行なわれております。これも、連れていかれておりますので、威嚇であったか実弾であったか、その点はわかっておりません。

それから、わが方くろかみ丸という巡視船が、向うの警備艇と拿捕された亀秀丸の間に割って入っております。この亀秀丸という船をめぐって、向こうの警備艇とわが方の巡視船が、どっちも非常にそばまで参っておりますので、そこで、両船が、警備艇と巡視船が接触いたしております。ためにわが方巡視船が、この辺もはっきりいたしませんが、ごくわずかの損害を受けた。それから拿捕された船も、向こうの警備艇に接触された際に多少の損害を受けておるのじゃないかというふうに思われております。拿捕するということが一つの問題であります上に、この射撃をしておるという点がまた非常に大きな問題になるのであります。

本年に入りまして、1月に1隻、3月に2隻、そして昨日1隻というふうに、4隻拿捕されておりまして、1月の分と3月の半ばの分は、すでに漁船並びに乗組員も釈放されておりますが、3月の20日でありましたか、第3番目の分はそのままつかまっております。そして第3回、3月20日ごろと思いますが、そのときはやはり銃撃を受けております。これは、わが方巡視船でなくて、水産庁に属する船であります。そういう事実がございます。

これに対しまして厳重な抗議をいたしておりますが、先方の言い分は、向こうの公務執行を妨害したというふうなことを言っておるわけであります。これは懸案になっております。再びこういう事件が起きたわけであります。今、会談をやっておりまして、せっかく空気を改善しようとしておる際に、こういう事件が次々に起きるということは、非常に遺憾なことと思っております。