昭和37年10月15日 衆議院 外務委員会

[039]
日本社会党(社会民主党) 戸叶里子
それでは、次の問題といたしまして、日韓会談のまとまる条件として、李ラインの問題をあげているわけでございます。それはもちろん当然のことでございますが、その前に私どもが言いたいことは、最近漁船の拿捕が非常に多くなっていると思います。新聞の報道だけでも、3日と13日に拿捕されたということが報道され、そうして、13日には、逃げる人をつかまえて殴打して、そうしてピストルの何か銃の手が折れたとかなんとかというようなことまで報道されているわけでございますけれども、一体、なぜ今日韓会談の進められている最中にこういうことをするのでしょうか。この分析はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。

こういうふうなことをすることによって日韓会談を自分たちに有利にしようとする、人質を取って日韓会談を有利に展開しょうというふうにでも考えているのでしょうか。この点の分析を外務大臣としてここで表明していただきたいと思います。

[040]
外務大臣 大平正芳
今仰せの通り、交渉が進行中にそういう事件が間々惹起するということは遺憾なことでございまして、私どもといたしましても、そのつど韓国側に抗議いたしまして、善処を求めておるわけでございます。

[041]
日本社会党(社会民主党) 戸叶里子
抗議を申し込むのは、やっていらっしゃると思いますが、これは当然のことだと思います。でも、そんなことではやめられずに、向こうの方が相変わらず拿捕して乱暴しているのですから、もっと何らかの手を打たなければならないと思うのです。たとえば、日本としては、会談の中で、そういうことをするならもう会談をやめましょうぐらいの強い態度に出られないのでしょうか。この点をお伺いいたします。

[042]
外務大臣 大平正芳
国交正常化ができないためにいろいろなことが起きていますので、そういうことのないようにするためには、根本的にも正常化をできるだけ早く急がなければならぬものだと心得てやっております。

[043]
日本社会党(社会民主党) 戸叶里子
国交正常化ができないからいろいろなことが起きるというふうな考え方だから、足元を見すかされると思うのです。こういうふうなことをやるような野蛮な国とは自分たちはとても国交正常化ができないという、そういう態度でなぜ会談に向かうことができないのでしょうか。そうじゃないから、向こうは幾らでも拿捕してくるのじゃないですか。