昭和37年03月14日 衆議院 外務委員会

[155]
日本社会党(社会民主党) 野原覺
ただ、竹島問題については、韓国が占拠してから10年になるのであります。8年か7年ほど前でございました、奥村外務次官のときに抗議書を渡しただけであります。それからほったらかしであります。向こうは兵隊を入れて抑えておる。

これは全く抗議書というものは1回か2回しか渡していないのです。何年も日本政府はこれを放擲してきた。だからして、こういうような長い間の事実が積み重なって参りますと、民法上の占有権ということもあるのです。現実に韓国が占拠している、日本はその間に何も発言をしていない、こういったようなこともあって、私は、国際司法裁判所に持ち出したときに、実は不利な判決が下るおそれもあろうかと思う。

こういうことについて外務大臣はどういう反省をされますか。あなたが外務大臣になってから何回竹島の問題で抗議をされたか私は知りませんが、日本政府としてこれは自己批判をしなければならぬ大事な点ではなかろうかと思うのですが、この点についてあなたの所見を承って、終わりたいと思います。

[156]
外務大臣 小坂善太郎
昭和27年の1月18日に、いわゆる李承晩ラインの宣言がありまして、竹島をその内側に含めておる。これは竹島に対する韓国の領土権を前提としたもののごとくでありましたので、日本政府は、この27年1月28日付口上書によりまして、竹島に対する韓国の領土権は断じて認められないという旨を厳重に申し入れておるのであります。

政府は、その後、文書あるいは口頭によりまして、韓国と交渉を継続しまして、本問題の解決のために努力を続けておるのでありまするが、これは今おあげになりましたような2、3回のものではなくて、これはもう10回以上にわたり、18回くらいになりすすが、こういうことになるわけでございます。私は、その間に日本が全然ほっておいて時効が完成するというような問題には全然ならぬと考えております。

政府といたしましては、今申し上げましたような趣旨で、極力韓国側にわが方の正当なる主張をいたしまして、理解を得ればそれでよろしいのでありますが、目下のところなかなか韓国側が理解いたしませんので、公正なる国際司法裁判所の判決によってこの問題に結着をつけるという考えで進みたいと思っております。