昭和28年10月27日 衆議院 水産委員会

[011]
自由党(自由民主党) 吉武恵市
第一に、今回の李承晩ラインによって捕われました数は、先ほど御報告がありましたが、9月以降だけでも474人、その数が42隻でございます。私の地元でございます萩の一小部落に越ケ浜、玉江という部落がございますが、わずか500~600戸の中から144名という中堅どころが捕われて今に帰って来ない。その家族は悲痛でございます。私はこの一軒々々をまわりまして、あまりに数が多いのと悲惨なのに胸を打たれた。今、井川君からも話がございましたが、ただ抑留されたというだけでないのであります。その中の60数名というものは行方不明、行方不明ということは深刻であります。私はこれらの事情を聞きまして、じっとしおれない。なかなかむずかしい問題ではございますが、ただむずかしいでは納まらないのでございます。

そこでこれらの方の返還及び生活の援護につきましては、所管の大臣がお見えになりませんから、お見えになってから私はただしたいと思いますが、木村保安庁長官にお願いしたいことは、この領域には、先ほど参考人から示されましたごとく、毎年2000隻近い漁船が出漁しておる。この1年の産額は約130億、これによって漁民が生活をしておるのであります。これを突如李承晩がかってにラインを引いて、これから入るな。入るなといって、帰っては飯が食えない。飯が食えないから、今下関の沖にみな出漁をしておるのでありまして、出かけるときは水杯をして出ておる、あぶないからといったって聞けるはずはないのであります。

日本がいまさら武力を失いましたときに、はなはだ残念ではございますが、木村長官の手元にはまだ海上の警備の船が若干ある。これがいかなるものであるかは存じませんけれども、漁民はその出動を願っている。何とかして来て助けてもらいたいというのが、地元の悲痛な叫びでございます。これにつきまして、保安庁長官はどういうお考えをおとりになろうとしまするか、その点をまず第一にお聞きしたのであります。



[018]
自由党(自由民主党) 吉武恵市
御承知でありましょうが、今度の李承晩ラインの問題で、9月以降今日までに474名がつかまっておるのであります。向うの生活の実情は、情報によると非常に気の毒な実情にある。しかも私のところは小さい部落でありますが、その部落の中の中堅どころが、ほとんど捕われている。その家族は悲惨であります。従って早く何とかこれを帰してもらいたいというのが女子供の願いです。

先日萩で大会を開きまして悲痛な叫びをやっているのであります。直接交渉の方法が決裂いたしました今日、非常にむずかしいでありましょうが、直接に交渉して話がつかなければ、何とか間接にでもこれを早く帰す道はないものか、いろいろ御苦心になっていることとは思いまするが、地元としては、ただ著しい、むずかしいだけでは承知してはいないのでありまするから、この点をひとつお聞きかせ願いたい。

特に先ほど申しました474名のうちに、私のところでは小さい部落で144名が捕われているのですが、その中で8隻、60何名というものが行方不明なんです。その家族の心配というものは、実際私ども会って顔が合せられないのであります。この実情でもひとつ早くつかむことができないか、あるいは赤十字を通ずるという方法もありましょう、あるいはよそに頼むという方法もありましょうが、この実情の調査と、そして何とかして早く帰る道を講じていただくこと、この点時間がございませんから簡潔にお尋ねをいたします。