昭和33年06月20日 衆議院 外務委員会

[081]
日本社会党(社会民主党) 大西正道
その後友好な雰囲気のうちに全面会談を進めるというのであるから、当然李承晩ライン侵犯の理由による新たなる拿捕、抑留というものがない、そういうふうに政府も十分な了解を得てやっておるものだと思うのですが、その後の抑留者はございませんか。

[082]
外務大臣 藤山愛一郎
その後残念ながら抑留者はございます。

[083]
日本社会党(社会民主党) 大西正道
これはどうも合点がいかないのであって、やはり友好な雰囲気のうちにこちらも譲歩して、抑留者を全部返してから話を始める、こういうことで私どもも政府の態度に対して賛成をし、支援をしたのだ。

ところが相も変らず抑留者がどんどん出ていく、拿捕されるということであっては、何ら途中で相互釈放、相互送還をやった理由がなくなってしまう、意義がなくなってしまうから、当然私どもは政府がそういうことを政治的な面において解決して、人質のないところにおいて交渉を始めるべきだ、それだけの自信と何が政府としてはあるべきであったと思うのですが、この点についていかがでしょうか。現実はそうであったとしても、それに対する政府の責任は今後行う交渉の上にも大きく現われるので、所信を聞きたい。

[084]
外務大臣 藤山愛一郎
われわれはこの日韓の会談をできるだけ友好裏に進めて参りたいと思っております。それに対して李承晩ライン問題も考えて、全面会談でこれを取り上げて、問題を解決していくという立場で全面会談に入っております。

ただまことに遺憾なことは、そういう実際の問題の解決に進みながら、韓国側がなお若干そういう措置をとったということについて、われわれ遺憾に思っておる次第であります。