昭和33年07月04日 衆議院 外務委員会

[113]
日本社会党(社会民主党) 大西正道
きょうは、きのう資料をお願いしておきましたが、二つございまして、一つは第二星丸の拿捕の状況に関する資料でございます。これは拝見いたしました報告書の中にもありますが、念を押しておきたいのは、第二星丸が拿捕された場所というのは、明らかに李ラインの外にあるものであるというふうに私どもは思っておるし、またこれは報告書にもそう書いてあります。その点はわれわれはそういうふうに認めておるけれども、先方はこれをどういうふうに言っておるか、この点を一つお聞かせ願いたい。

[114]
政府委員(外務事務官(アジア局長)) 板垣修
この点につきまして、この事実をはっきり韓国側に対しまして指摘をして抗議をいたしたわけでありますが、先方側がどう見ておるかについてはまだ確認ないし返答は受け取っておりません。

[115]
日本社会党(社会民主党) 大西正道
あなたの方の報告には、直ちに第二星丸に韓国の船が接近して、そして拿捕したように書かれておりますが、私どもの調査によりますると、その以前に、最初は第七六照丸という船に横づけして拿捕しようとした。ところがこれは魚が少しもこの船に積んでいないというので、これを離れて、獲物を満載しておるところの第二星丸に手をつけた、こういうふうに聞いておるのでありますが、この点は御存じでありますか。

[116]
政府委員(外務事務官(アジア局長)) 板垣修
この第二星丸が拿捕される前後の状況につきましては、詳細は海上保安庁から私どもの方に報告はございません。なお、今御指摘の点は調査いたしたいと思います。ただいまのところ外務省といたしましては、そういう点についての報告、連絡はもらっておりません。

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日本社会党(社会民主党) 大西正道
この私どもが入手した情報は間違いないと思います。こういう事実から、今回の拿捕がどういう意図のもとにやられたのかということに対して、かなり重大な意味を持つのです。一部ではこれは漁獲物をねらったまあいわば海賊的な行為である、こういうふうに見る向きもあります。

しかしまたある一部では、先般来日韓間の問題につきまして、いろいろと国内においても意見が戦わされ、それが先方にわかりまして、その報復手段として意図的にこういうふうな措置をしたのだ、こういう見方もあるわけなのであります。

私はこういうことにつきまして、今いずれがどうだということは言いませんけれども、これらにつきまして一つ見解がございましたら聞かしていただきたいと思います。

[118]
政府委員(外務事務官(アジア局長)) 板垣修
ただいま御分析がございましたが、私どもも確認はできませんし、そういう問題につきまして政府側では見解を申し述べることはできない点を御了承願いたいと思います。

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日本社会党(社会民主党) 大西正道
そこでもし私が言う獲物を主にしてやったというような海賊的な行為であるとするならば、こういうふうな問題に対しては、一体政府としてはどういうふうな処置をもって今日まで臨んでこられ、今後もこれに対処されようとするのかということを、一つ私は聞きたいのであります。

この報告書を見てみますと、「いすず」はこれに対して150メートルまで近づいて、そして何かいろいろと信号や暗号をやったが一向きかない、かえって銃撃を受けた、そしてかえってあとずさりをした、そういうふうなことがある。