昭和33年08月01日 参議院 農林水産委員会

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説明員(外務省アジア局北東アジア課長) 菅沼潔
第二星丸の件に関しましては、海上保安庁からの連絡によりまして、外務省において次のような措置をとった次第でございます。

本船は、33年の6月25日に五島の荒川港を第一昭生丸の付属船として出港いたしまして、26日に五島列島西方李ライン外14マイルの地点で、右網船が2回目の操業を行いまして漁獲してあじ3000貫を積み込んだのであります。この第2回目の積み込みを午前3時50分ごろに完了いたしました直後に、濃灰色の船が無灯火で接舷をしてきて横づけし、銃を手にした者が4名同船に乗り移ってきたということであります。その後コース西方に曳航されたのであります。

現場の近くにおりました海上保安庁のパトロール船「いすず」が第二星丸及び韓国艇に午前6時ごろ接近いたしまして、手旗、マイク、発火信号等で拿捕船の釈放交渉をいたしましたけれども、韓国艇は全然応ぜず、巡視船は韓国艇の100メートル付近にまで近接いたしましたけれども、韓国艇から威嚇の射撃を受けたので、約2海里の地点まで退避したというふうに伝えております。

この間、第二星丸に乗っておりました甲板長と機関長は午前7時過ぎに海中に飛び込みまして「いすず」によって救助をせられたというふうな報告を海上保安庁から当時受けたわけであります。



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自由民主党 秋山俊一郎
外務省がとられた措置は、例によって抗議をせられたことになっているのですが、今お話のように、この事件は李ラインの外であることはもちろんであり、しかも、船からのがれて逃げた船員に対してあとから銃撃を加えているといったようなこと、また、今もお話の通り、魚を積んでおる船をねらっておる。その前に、いま一そうの付属船をねらって接舷しかかったところが、その船は船も小さかったし、何ら漁獲物も持っておらならなかったので、これを拿捕することをやめて、今魚を積んでまさに根拠地に帰ろうとしておるものを追っかけていってつかまえたというようなことを総合して考えますと、まさしくこれは海賊的行為である。