昭和29年02月13日 衆議院 水産委員会

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政府委員(農林政務次官) 平野三郎
しかるところ、昨年9月8日、韓国政府がいわゆる李ライン内に出漁したわが国漁船に対し非常措置をとることを声明して以来、同方面に出漁せる漁船のうち多数のものが韓国官憲によって捕獲、拿捕、抑留され、いわゆる李ライン問題としてわが国漁業にとって重大なる脅威となり、被害漁業者は言うまでもなく、全国民の憂慮と関心とを集めていることは御承知のとおりであります。

この事件によるわが国漁船の被害の概要は、平和条約発効後から昨年12月31日現在までに捕獲、拿捕抑留されたもの50隻に上り、このうちには政府の監視船1隻も含まれております。

これらの漁船はいずれも正当に操業または航行中拿捕され、韓国に連行、抑留されたものでありまして、乗組員の大半は幸いにして帰国することができたのでありますが、なお若干名の抑留者を残しておるのでありまして、これについては、そのすみやかなる釈放と抑留所内の待避の改善方を申し入れている次第であります。一方、拿捕せられた漁船は1隻も返還を見ておらぬ状態であります。