昭和28年10月28日 衆議院 外務委員会

[133]
自由党(自由民主党) 木村武雄
もう一つ、竹島の問題であります。李承晩ラインを李承晩が宣言いたしましてから、事実李承晩ラインというものは確認されている。日本の漁船は一隻といえどもその中には入れない。従って漁獲はそこからはない。それですから事実上李承晩ラインというものは確認されている。

しかもその李承晩ラインの中にあります竹島というものは、これも事実上韓国の領土のようなものになっている。標識を抜いたり立てたりしておりますけれども、事実上韓国の領土のようなものになっている。

日本が領土を失いまして、さなきだに少い領土を、しかもよほど前から日本の領土であることが明確でありますこの竹島が、事実上韓国によって占領されているということになりますと、これは国辱の問題だと考えております。無人島であるから占領されてよろしい、人が住んでいる場所であるから占領されては悪いのだというようなことは私はないと考えております。事実上占領されているということは日本の大きな国辱の問題である。

そうした国辱の問題をひっさげて日韓交渉をしなければならぬ外務省の態度といたしましては、決裂したからといって、一体現状のままで済むのかどうかということも私は大きな問題だ、こう考えております。この国辱の問題を中心にいたしまして、かりに民族問題というものが熾烈化いたしますれば、あるいは穗積君なんかが憂えられたような結果が起きないとも限らないと私は感じておりますが、こうした標識の奪い合いなどやらないで、一日も早く竹島が日本の領土であるということを、韓国をして確認せしめる必要があると感じておりますが、岡崎外務大臣はこの問題をどういう方法で解決しようとしておいでになるか、お伺い申し上げます。

これは漁業権の問題とは関係なしに、日本の領土である竹島が事実上韓国に占領されている。私もこの問題が起りましてから、竹島というものに関心を持ちまして、いつごろから一体日本の領土になったのであるか、文献を調べてみたのでありますが、非常に古い地図が私の手元にあったのであります。これは文化8年に発表されたものでありまして、今から144年前の地図でありますが、これによりましても、竹島は明瞭に日本の領土になっておるのであります。その領土になっております日本が、韓国とその標識の奪い合いをしなければならないとは、一体何たる恥辱でありますか、じっとしておられないような気持がするのであります。

一日一刻といえども、私はこの問題だけはゆるがせにすることはできない、こう考えておるのでありますが、これに対して外務大臣はどういう態度でこの問題を解決されるおつもりでありますか、お聞き申し上げます。

[134]
外務大臣 岡崎勝男
領土の問題というのは実際非常にむずかしいので、たとえばトリエステの問題でも、イタリアとユーゴスラビアで非常な争いをしておるというようなこともありまして、なかなかむずかしい問題でありますが、竹島については、私は日本の領土であるということは、これは間違いないのであって、これは自分の領土なのですから、これをどうすることもできない。これはもう自分の領土だと、がんばるよりほかに方法はないと思います。これを日本の領土でないという者があれば、それはまったく誤りでありますから、これについては歴史的な文献、その他いろいろの材料はもちろんありますので、これはどうしても日本の領土だといって守って行くよりしかたがないと考えております。