昭和31年05月18日 参議院 内閣委員会

[089]
日本社会党(社会民主党) 吉田法晴
それではその多く起る侵略に対して一応日本を守るだけの力、それから先は共同防衛、共同防衛ということを、アメリカとの共同防衛ということ、そのときにはその多く起るであろう侵略に対して、日本を守る力というものはふえているわけではありませんね、あなたのお考えでは。

[090]
内閣総理大臣 鳩山一郎
今、私はとにかく防衛力が一つもありませんと、李ラインの問題などが起きても、なかなかまとまらないというような形が自然に起るべきものだと思うのです。

相当の自衛力を持つということは、独立国家としては古今古来にきまっておるのですから、自衛力を全くなくしてその国の平和は保たれる、侵略を免れているというのは歴史的にないのですから、そこは考えなくてはならないと思います。

[091]
日本社会党(社会民主党) 吉田法晴
李ラインの問題は、これはまあ失言だと思うのですが、李ラインの問題の起るのは自衛力がないからだというわけですか。

[092]
内閣総理大臣 鳩山一郎
いやそういうわけではありませんけれども、直ちに説明するわけには参りませんけれども、自衛力が一つもない、侵略は従って起る機会は多いと思うのです。

[093]
日本社会党(社会民主党) 吉田法晴
それはその李ラインの問題をお取り消しになったら……、李ラインの問題は外交交渉で……。

[094]
内閣総理大臣 鳩山一郎
李ラインの問題は外交問題でありますから、これを引例しない方がいいと思いますから取り消します。