昭和33年03月20日 参議院 予算委員会第三分科会

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日本社会党(社会民主党) 安部キミ子
まあそういうことだろうと思いますから、この質問はこれで終りますが、けさのラジオで聞きますと、李承晩ライン付近で、また日本の漁船が拿捕されたということを聞きましたが、その情報の詳細を報告いただきたい。

[033]
政府委員(水産庁長官) 奥原日出男
私、今朝からずっと国会に参っておりまして、実はまだそれについての報告を受けておりません。直ちに調査をいたしまして、御報告申し上げます。

[034]
日本社会党(社会民主党) 安部キミ子
このように、韓国の方は、次々次々と拿捕する一方、422名という者をまだ帰してくれない。

こういうあり方を一体長官はどういうふうに考えておられますか、韓国のこのいき方に対して……。

[035]
政府委員(水産庁長官) 奥原日出男
御承知のような経緯によりまして、昨年の暮れに約束のできました抑留漁夫がなお422名韓国に残されておるということは、はなはだわれわれとしても残念に思うのでございます。

しかし、これに関しましては、われわれといたしましては、しんぼう強く韓国と話し合いを進めていくという努力を続けるということによって解決する以外にはない、かように考えておるのでございまして、そういう線に即しまして、すでに外務大臣も金大使と会見され、いろいろ当方の意のあるところも伝えておる、こういう状況であるのであります。まあでき得る限りいろいろな手をその釈放の実現いたしまするように打って参りたい、かように考えております。

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日本社会党(社会民主党) 安部キミ子
この抑留漁夫の釈放の見通しはどうなんですか。

[037]
政府委員(水産庁長官) 奥原日出男
ただいま申し上げましたように、現時点におきましては、これをいつ帰すというふうなことを韓国側は全然表明をいたしておらないのでございます。

しかし、われわれとしましても、とにかくしんぼう強く韓国に交渉をして、そうしてこれが帰還の達成できるように努力をする、また同時に、必要ないろいろな手は打っていくということにすることによりまして、一日もその早からんことを望む次第でございます。

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日本社会党(社会民主党) 安部キミ子
18日の予算委員会の質問で、外務大臣は、日韓交渉は、抑留漁夫が全部帰ってくるまでは交渉に入らないという決意を表明されましたが、長官も、その意思には御異存はないでしょうね。

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政府委員(水産庁長官) 奥原日出男
私も、現在の状態のままにおいて日韓交渉を開始するべきではない、かように考えております。