昭和35年02月12日 衆議院 予算委員会

[260]
民主社会党 受田新吉
しからばまず第一にお尋ねしましょう。韓国、台湾には友好的な感覚で外交をしておるということを了解してもらっておるとあなたは言われましたけれども、本日午前5時38分第五八幡丸という長崎県所属の船が、操業中に韓国の警備艇に追跡をせられまして、その逃走中に警備艇に激突されてその船は沈んでしまったという事件が起こった。乗組員はその警備艇に連れられて、18名であったということでございます。韓国の李ライン外で起こった事件でございますが、李ラインの中にこの警備艇は消えてしまったというのです。本日こういう事件が起こっておるということは、あなたは外務省の首脳部としては御存じでございますか。

[261]
外務大臣 藤山愛一郎
私どもも本日午前に起こりました事件については、まことに遺憾にたえないと思っておるのでありまして、ただいまお話のございましたような事実がございます。従ってわれわれとしては直ちに不法行為に対して厳重な抗議をし、乗組員の釈放、漁船の損害賠償等を要求するつもりでございます。



[270]
民主社会党 受田新吉
韓国が用いている艦船は、武器貸与協定によってアメリカから提供されておる。そうしますと、この武器貸与協定の中に、国際の平和と安全のためにこれが用いらるべきことが何らかの形で示されていると思う。日本の出漁した船を拿捕するためにこの艦船を使えとは書いてないと思うのです。

少なくともアメリカを中心にしては、韓国と日本はあなた方の政府では非常に大事な立場になっている。それをアメリカが貸与した船が日本の漁夫、漁船を拿捕するために用いられておる。李ラインを乗り越えてまで本日第五八幡丸はやられておる。その根っこのアメリカの介入は今許したくないと言われておったようでありまするが、しかしあなた方が8年たってもよう手をつけぬ、しかも向こうの船は、アメリカが貸した船だということになれば、解決の道は簡単じゃないですか、お答えが願いたい。

[271]
外務大臣 藤山愛一郎
私どもは先ほど来申し上げておりますように、できるだけやはりこういう問題は二国間で解決されることが望ましいわけであります。日本が第三国の力を借りて二国間の問題の解決をはかるということは、望ましいことではございません。しかしながら二国間で問題が解決しませんければ、他の友好国の力を借りるということも一つの方法だとは思います。しかしながらやはり原則としては両国間でできるだけ話し合い、向こうの理解を求め、考えを訂正してもらって、そうして進むのが本筋であろうか、こう存じております。