昭和30年12月08日 参議院 予算委員会

[115]
無所属 千田正
12月の3日だと思いまするが、これも韓国側の宣言でありますが、たとえ日本の公船――公けの船であります、といえども、たとえば海上保安庁の船、あるいは海上自衛隊の船であっても、李承晩ラインに侵入して来た場合には直ちにこれを拿捕する、あるいは撃沈しても差しつかえない、こういうことを宣言しておりますが、もしもそういう不幸な事態、たとえば漁船というような問題じゃなく日本の国が所有しておるところの、国家の機関であるところの海上自衛隊の艦船もしくは海上保安隊の艦船にさような不幸な事態が生じた場合においても、日本は今の総理の大きな意味における隠忍自重な立場をとるというふうにやはり考えておられるのでありますか、どうですかその点。

[116]
内閣総理大臣 鳩山一郎
今日韓関係におきましては非常に感情が熾烈にたり、変りつつあるのでありまして、そういう問題について日本が武力を行使する権利があるとかないとかいうこをここで明言することは避けた方がいいと思うのであります。御質問に対しては別の機会においてお答えをしたいと思います。

[117]
無所属 千田正
もう一つ、さっき多分お触れになったような感じでありますが、はっきりお答えがなかったのでふりますが、たとえば韓国側が大村の収容所において収容されておる韓国人の中に、日本の国内において日本の国法に触れた犯罪人を強制送還しようと思っても向うは受け付けない。やむを得ず大村の収容所にこれを抑留しておりますが、こういう者に対する釈放ということを韓国側が盛んに宣伝しておるようであります。

しかしこれは顧みるというと、独立国家であるところの日本の国内に住んでおったその人たちが、日本の国法を犯したいわゆる犯罪人である、これは日本の漁夫が正常な立場でしかも国際公法上何ら差しつがえない所で漁業をしてつかまったのとは、おのずからその根本の原因が違うと思うのでありますが、こういう問題についてはどういうふうに考えておりますか。

[118]
内閣総理大臣 鳩山一郎
それらの点につきましては、法務大臣から答弁してもらいたいと思います。今来ておりませんが……。